濡れ性の異なる表面へのポリマー溶液の衝突挙動を解析
- MJ ueno
- 2019年11月9日
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Concordia Universityらの研究グループが、濡れ性の異なる表面へのポリマー溶液の衝突挙動を解析しました。
この研究成果は、Processesに掲載されています。
この記事は下記論文の紹介記事です。
論文:
Tembely, Moussa, et al. "Numerical Simulations of Polymer Solution Droplet Impact on Surfaces of Different Wettabilities." Processes 7.11 (2019): 798.
固体基板上への液滴の衝撃と拡散のダイナミクスは、学術目的と産業目的の両方で非常に活発な研究対象です。
実際、これらの現象は、雨滴が表面に衝突するなど、日常生活で広く遭遇しています。
産業の観点からは、幅広い用途のため、非ニュートンの液滴と表面の相互作用の物理学に大きな関心が寄せられています。
このため、プロセス開発全体および多くのエンジニアリング操作の改善には、固体材料への液滴の衝突に関する詳細な知識が必要です。
このような背景から、同研究グループは液滴の衝撃、拡散、および最終的に粘弾性液滴のリバウンドをシミュレートする物理ベースの数値モデルを提示しました。
シミュレーションは、液滴と基板間のヒステリシスを考慮した動的接触モデルと組み合わせた流体の体積(VOF)メソッドに基づいて行われ、流体の非ニュートン性は、レオロジー特性に基づいて高分子流体をモデル化するFENE-CR構成方程式を使用して処理されているとのことです。
本研究の中で、ニュートン性の溶液と粘弾性希釈ポリマー溶液の液滴の間で比較シミュレーションや、接触角ヒステリシスを示す親水性および超疎水性基板で液滴衝撃解析を実行しています。
なお、基材の濡れ性が液滴の衝突力学に及ぼす影響は、液滴の広がり直径の変化によって決定しています。
この研究の結果、衝突における液滴の広がりは、基材と流体のレオロジーの両方に依存していないように見えました。一方で、液滴の反発挙動は、これらの操作パラメーターによって大きく影響を受けているように見えました。
さらに、この液滴の跳ね返り現象が、溶液中の臨界ポリマー濃度が0.25〜2.5%のポリスチレン(PS)の間において発生することを確認し、その濃度を超えると超疎水性基板からの液滴の跳ね返りを抑えることができることを確認したとのことです。
今回得られた理論モデルは、流体の2D / 3D印刷における複雑な挙動を理解するためにおいて、有効であると思われます。
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