産業技術総合研究所の研究グループが、エアロゾルを用いたリチウム二次電池開発方法に関して発表しました。
この研究成果は、Synthesiologyに掲載されています。
この記事は下記論文の紹介記事です。
論文:
片岡邦光, et al. "単結晶固体電解質を利用した小型全固体リチウム二次電池の開発." Synthesiology 12.1 (2019): 28-38.
全固体リチウム二次電池は、次世代二次電池の一つとして注目され、研究開発が盛んに行われている蓄電デバイスです。
全固体リチウム二次電池の実現には、新しい部材であるリチウム固体電解質の開発が重要です。
このような背景に対し、同グループは、産総研独自の薄膜生成技術であるエアロゾルデポジション法を用いることで、リチウム固体電解質単結晶を利用した全固体リチウム二次電池の開発を行ってきました。同グループはガーネット型リチウム固体電解質単結晶とAD法を利用して酸化物系全固体リチウム二次電池の試作を行ったとのことです。
その結果、ガーネット型リチウム固体電解質単結晶は、従来のリチウム二次電池における電解質とセパレータの機能を有していることが明らかになったとのことです。
◆エアロゾルデポジション(AD)法
微粒子をガスと混合し減圧下でノズルから噴射することで、エアロゾルジェットとして基板に衝突させ、膜を形成する技術。産総研により発見された「常温衝撃固化現象」(粒子径1 μm前後のセラミックスなどの微粒子材料に、高い圧力や機械的な衝撃力だけをかけることで、加熱することなく常温で高密度に固化できる現象)を用いて、緻密で高密着強度のセラミックス膜が金属、ガラス、プラスチックなどさまざまな材質の基板上に常温形成できるのが特徴。膜材質にもよるが、成膜速度は、従来の薄膜形成技術の数十倍以上である。
また、AD法では、原料粒子が基板に衝突する際に3 ギガパスカル(GPa)以上の非常に高い圧力がかかる。非常に高いプレス圧で原料粉末を粉体成形しているともいえ、常温プロセスで形成されたにもかかわらず、各層とも非常に緻密な膜構造を形成できるという特徴を持つ。
過去のプレスリリース:
常温プロセスで全固体薄膜リチウムイオン電池の試作に成功 2010/11/5
高い安全性と信頼性を実現した小型全固体リチウム二次電池を開発 2017/2/1
#エアロゾル #リチウム
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