University of Nottinghamの研究グループが、インクジェット法による3D造形手法の一つであるマテリアルジェッティング法を用いた錠剤作製法の開発を行いました。
この研究成果は、International journal of pharmaceuticsに掲載されています。
この記事は下記論文の紹介記事です。
論文:
Cader, Hatim K., et al. "Water-Based 3D Inkjet Printing of an Oral Pharmaceutical Dosage Form." International journal of pharmaceutics (2019).
インクジェット印刷は、液滴が基板上に選択的に堆積され、続いて固化する技術であり、積層造形技術としても用いられている技術です。
デジタルデータをもとに堆積量を制御できるため、経口剤または錠剤の製造にインクジェット法を活用することで、製造工程数の減少ならびに個々の患者に独自の投与計画を調整することが可能になると考えられています。この利点に注目し、薬剤の粉末にバインダーを滴下して経口剤を作製する会社も既に存在します。
同グループは、インクジェットプリンターを使用して錠剤を直接印刷することを試みました。この手法は、3Dプリンターの代表的な手法の一つであるマテリアルジェッティング法です。
まず、ポリビニルピロリドン及びチアミン塩酸塩(バインダーと薬物)を用いて、効果的なインクジェット吐出特性を示すように調合物を開発しました。作製したインクをポリエチレンテレフタレートフィルム上に印刷し、周囲環境中で溶媒が気化することで、錠剤の形成を行っています。
錠剤は、インクの組成から推測された通りの薬物装填量を含有することが示されたとのことです。
印刷された錠剤は口内で瞬間的に崩壊する特性を示したとのことです。
この研究において有毒な有機溶媒の使用など、溶媒ベースのインクジェット印刷に関する一般的な問題は回避されているとのことです。適切なインクから錠剤を製造するために本研究で開発された手法は有効であり、本手法は水溶性のあらゆる薬物を用いた処方のための枠組みを提供すると同グループは主張しています。
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