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デバイス応用可能な黒リンインクの開発

ケンブリッジ大学のグループが、インクジェット印刷可能でデバイス作製に応用可能な黒リンを用いたインクを開発しました。。この研究成果は、Nature communications (2017/8)掲載されています。

この記事は下記論文の紹介記事です。

論文:

Hu, Guohua, et al. "Black phosphorus ink formulation for inkjet printing of optoelectronics and photonics." Nature communications 8.1 (2017): 278.

https://www.nature.com/articles/s41467-017-00358-1 大学のプレスリリース:

http://www.eng.cam.ac.uk/news/breakthrough-ink-discovery-could-transform-production-new-laser-and-optoelectronic-devices



黒リンは、電荷キャリアの移動度が高く、また可視領域および近赤外領域に対応するバンドギャップを有するなど、電子デバイスや光電子デバイスにとって有用な性質を持っている材料です。

しかしながら、空気中の水分と反応し易く環境安定性に乏しいため、2次元材料としての黒リンの実用化はあまり進んでいませんでした。

黒リン
黒リン(ケンブリッジ大学HPより)

この課題に対し、同チームは、黒リンインクの化学組成を最適化し安定性の高いインクを得ることに成功しました。

特に改善した課題がコーヒーステイン現象です。インクジェットの印刷プロセスでは液滴の乾燥過程において液滴の周辺に溶質が集まるコーヒーステイン現象が起こります。これは液体の周辺部と中心部との溶媒蒸発速度の差によって発生する対流が原因です。このコーヒーステイン現象を防ぐには、周辺部への対流と逆方向に流れる再循環流を作ることです。同チームは、アルコールを10vol%添加することで再循環するマランゴニ流を誘発し、コーヒーステイン現象を軽減させ黒リンの均一な堆積を実現しました。


研究チームは、黒リンインクは、新しい光通信デバイスに顕著な進展をもたらすとし、従来よりも広い波長領域まで対応できる高感度光検出器や、レーザー装置用の超高速光学シャッターとして機能する非線形光学デバイスなどを活用例として挙げています。





●液体制御装置:

FUJIFILM Dimatix




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