Northwestern Polytechnical Universityの研究グループが、コーヒーステイン現象を用いたグラフェンマイクロリングの作製方法を開発しました。
この研究成果は、Applied Surface Scienceに掲載されています。
この記事は下記論文の紹介記事です。
論文:
Lian, Hongcheng, et al. "Uniform droplet printing of graphene micro-rings based on multiple droplets overwriting and coffee-ring effect." Applied Surface Science (2019): 143826.
炭素原子がハニカム構造に配列しているグラフェンは、柔軟性、強度、導電性といった優れた特性から、多くの分野で活用が見込まれる材料です。
プリンテッドエレクトロニクスの分野でも、グラフェンを用いた電子デバイスへの応用研究は多くなされています。
電子デバイスへの応用を検討する場合、課題の一つがグラフェンの指定位置への配置です。非吸収面に印刷した場合、溶媒の乾燥過程にグラフェンが対流によって流動してしまいます。特にコーヒーステイン現象による周辺部へのグラフェンの流動は大きな課題です。
このような課題を逆に利用することで、同グループはグラフェンをエッジ部に集積し、マイクロリングの作製を行いました。
同グループは、複数の液滴の重ね打ちとコーヒーステイン現象を利用して、連続した高密度なエッジを持つグラフェンマイクロリングを製造するための効果的かつ斬新な方法を示しました。
また、本研究においてマイクロリングを取得するための適切な堆積時間間隔とレジームマップが決定さたとのことです。
本研究では、適切な時間間隔を使用することにより、幅30μm、高さ4000nmの密集したエッジと離散的な内部残留物を含む強化されたマイクロリングが、液滴の上書きによって印刷されました。また、上書き回数を増加するにつれて、より広くより厚いエッジとなるマイクロリングを製造することができたとのことです。
この研究により、グラフェン材料の形態制御と応用の可能性、ならびに他の機能性材料の自己組織化に関するガイダンスに貢献する可能性のあるグラフェンマイクロリング製造の新しい視点が開かれると期待できるとのことです。
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