大阪大学研究グループが、インクジェット印刷技術を使用することにより、選択的な方向に骨細胞の細胞体または樹状突起の構造の制御された伸長を誘導することに成功しました。
この研究成果は、Materials Science and Engineering: Cに掲載されています。
この記事は下記論文の紹介記事です。
論文:
Matsugaki, Aira, Daisuke Yamazaki, and Takayoshi Nakano. "Selective patterning of netrin-1 as a novel guiding cue for anisotropic dendrogenesis in osteocytes." Materials Science and Engineering: C (2019): 110391.
タンパク質のパターン化アプローチは、生体材料の表面特性の調整に広く応用されていますが、そのようなプラットフォームを利用した細胞体および樹状突起の成長の選択的制御は依然として困難です。
生理学的環境で細胞体と樹状突起が担う機能的役割は、非常に高い特異性を持っています。
特に、石灰化した骨マトリックス内に埋め込まれた骨細胞は、ラクナ小管系の異方性配置を特徴とする樹状細胞プロセスを介して相互に接続されます。
したがって、樹状細胞プロセスによって接続された細胞ネットワークの制御を行うことは、人工的に制御された骨模倣構造を構築し、石灰化骨マトリックス内の樹状突起形成の分子メカニズムの洞察を得るために不可欠であると考えられます。
このような背景から、同研究グループは、インクジェット印刷技術を使用して、選択的な方向に細胞体または樹状突起の構造の制御された伸長を誘導する革新的な戦略をこの論文にて報告しています。
同グループは、神経構造に触発されたネトリン-1を使用した人工滑走路を利用して、所望の方向の骨細胞樹状突起プロセスの制御された伸長を誘発しました。
今回得られた成果は、世界で初めての報告であり、骨細胞の異方性樹状突起は、特に軸索ガイダンスリガンドネトリン-1を介して、細胞外タンパク質の選択的パターン化で制御できることを示しているとのことです。
Comments