Albstadt-Sigmaringen 大学(ドイツ)の Lutz氏が、インクジェット法により印刷したスイッチ回路の耐久評価を実施し、その結果を発表した。その論文の概略を紹介する。
インクジェット法を用いた金属インク塗布による回路作成は、安価な製造プロセスとしてプリンテッドエレクトロニクス分野を中心に注目を集めており、多くの研究報告がされている。
一方で、インクジェット法により生成された回路基板には他の製造手法とは異なる課題が発生する。その課題の一つが寿命、耐久性の低さである。もちろん、これらの課題を解決すべく、印刷プロセスやインクの改良は進められているが、反面、改良されたインクや特殊な印刷プロセスを実施できる装置は高価であるという課題が残る。
これらの課題に対し、Lutz氏は、低コストなプリンタを用いて耐久性のあるスイッチ回路を印刷可能か判断するために、複数のプリンターとインクの組み合わせで耐久性試験を実施した。
低コストプリンターとしてブラザー社のプリンターを用意し、インクはAgICの銀インクを用いており、比較用に高品質なプリンターとしてFUJIFILM Dimatix社製DMP-2850やMEYER BURGER社製PiXDRO LP50を用いた。
評価の結果、安価なプリンターを用いたサンプルは、低い耐久性を示したのに対し、銀インクで塗布したサンプルにカーボンインクをコーティングしたサンプルは高品質なプリンターのサンプルと同等の耐久性を得られた。
研究内容の概略は以上であり、詳細は下記リンクの論文を確認していただきたい。
本論文は、どのような対策が有効かといった情報の他に、インクジェット用インクを用いた配線形成における剥離や変質といった課題や実際にどのようなインクを使っているかといった確認ができる点で有用であると考える。
引用元の論文:
研究で使われていたインク:
銀インク
AgIC 銀インク
Advanced Nano Products Nano-Silver Ink for Inkjet Printing
NOVACENTRIX JS-B25P
カーボンインク
Resistive Carbon Inkjet Inks 3800
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