クイーンズ大学のグループが、インクジェット印刷された銀ナノ粒子膜の抵抗率に対する各パラメーターの影響を評価しました。この研究成果は、RSC Advances (2018/5)に掲載されています。
この記事は下記論文の紹介記事です。
論文:
Mypati, Sreemannarayana, et al. "Optimized inkjet-printed silver nanoparticle films: theoretical and experimental investigations." RSC Advances 8.35 (2018): 19679-19689.
http://pubs.rsc.org/en/content/articlehtml/2018/ra/c8ra03627f
インクジェット印刷技術を用いた応用は多く実施されており、すでに汎用性の高い技術として伸縮可能なエレクトロニクス、電池、センサーなど多くの分野で利用されています。
より活用されている分野の一つが、導電性インク塗布による導電性材料の堆積です。しかし、大抵の導電性インクは、塗布後に高温での焼成工程が必要です。また、溶質濃度が低いため、1回の塗布で形成される印刷物は導電性が不十分であり、複数回重ねる必要があることが多いです。
このような現状に対し、同グループは、複数の印刷層からなる銀ナノ粒子膜を形成し、印刷に対する焼成タイミングや焼成パラメータが抵抗率にどのような影響を及ぼすかを調査し、各パラメーターと抵抗率との相関を示すモデルの導出を行いました。
研究の結果、銀ナノ粒子の焼結は溶媒の沸点よりも低い温度で起こること、多層構造の場合1層毎焼結する方が電気抵抗率が低くなることを確認したとのことです。
また、同グループは、モデル化により作製した銀ナノ粒子膜の電気抵抗率を、膜厚、焼成時間、焼成温度と相関させることに成功したとのことです。
材料:
銀ナノインク
Metalon®JS-B40G、Novacentrix
印刷装置:
Dimatixマテリアルプリンター(モデルDMP-2800、FUJIFILM Dimatix社製)
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