山形大学のグループが、有機半導体の印刷によるオペアンプの作製に成功しました。
この研究成果は、Scientific reports(2018/6)で発表されています。
この記事は下記論文の紹介記事です。
論文:
Matsui, Hiroyuki, et al. "Printed 5-V organic operational amplifiers for various signal processing." Scientific reports 8.1 (2018): 8980.
インクジェットやグラビアオフセットに代表される印刷技術によって実現されているプリンテッドエレクトロニクスは新しい研究分野です。これらの印刷技術は、真空プロセスを必要とせず、製造コストを大幅に低減すると考えられています。特に、有機半導体をベースにしたプリントエレクトロニクスは150℃以下で製造できます。フレキシブルディスプレイ、電子ペーパー、有機薄膜トランジスタ(OTFT)は、プリンテッドエレクトロニクスの有望な用途として考えられています。
また、最近では印刷可能なp型とn型有機半導体材料が開発されたことでアナログ回路の印刷が可能となりました。
アナログ回路の中でもオペアンプは、アナログ処理の最も有用な要素の1つです。オペアンプはアンプとしてだけではなく、加算、減算、積分、微分などさまざまな演算に使用できます。
オペアンプの印刷例は過去に報告されていますが、過去報告されている印刷された有機性オペアンプは、40Vを超える電源を必要としています。このような高電圧では、携帯電子機器では利用できず、バイオアプリケーションにおいては安全ではありません。
このような課題に対し、同グループは5Vの標準電圧で動作可能な有機オペアンプの印刷を実現し、印刷したオペアンプを用いて信号処理できることを実証しました。
金属電極および半導体層は、インクジェットプリンタおよびディスペンサによって製造したとのことです。
印刷された有機オペアンプが、近い将来、使い捨て電子パッチセンシングアプリケーションにおいて最も重要な役割を果たすことができると考えているとのことです。
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