KTH Royal Institute of Technologyの研究グループが、グラフェンとナノ酸化グラフェンを用いた全行程インクジェット印刷による薄膜マイクロスーパーキャパシタの開発を行いました。
この研究成果は、Nanoscaleに掲載されています。
この記事は下記論文の紹介記事です。
論文:
Delekta, Szymon Sollami, et al. "Fully Inkjet Printed Ultrathin Microsupercapacitors Based on Graphene Electrodes and nano-Graphene Oxide Electrolyte." Nanoscale (2019).
https://pubs.rsc.org/en/content/articlehtml/2019/nr/c9nr01427f
小型で低電力の電子装置は日々進歩しており、サイズおよび性能に関してよりエネルギー貯蔵装置は厳しい要求を受けています。
マイクロスーパーキャパシタ(MSC)は、コンパクトなデバイス構造のおかげで、この問題に対する潜在的な解決策となるキャパシタとして考えられています。
マイクロスーパーキャパシタの研究は多数行われており、グラフェンのような新しい材料で性能を最大化し、拡張性のある製造プロセスで製造コストを最小化する試みがなされています。
これらの課題に対して同グループは、電気化学的に剥離されたグラフェンを用いた電極とナノ酸化グラフェンを用いた極薄の固体電解質を用いて、全グラフェンマイクロスーパーキャパシタの製造を実現する、フルインクジェット印刷法を開発しました。
同グループのデバイスは、集電体と活性電極を構成するインクジェット印刷グラフェンフィルムと、電解質を構成するインクジェット印刷ナノグラフェン酸化物(nGO)で構成されています。 nGOの高いイオン伝導性と吸湿性を利用することにより、デバイス全体の厚さが約1 µmのときに5 mV/sで最大313 µF cm-2の面積容量を得ることができたとのことです。
また、同グループはデバイスのパフォーマンスを最大化するために、パフォーマンスに対するデバイスの厚さの影響を体系的に調査しました。
結果として、超薄型デバイスは、厚いまたは液体の電解質を有するデバイスに匹敵する電力密度およびエネルギー密度を得ることを確認したとのことです。
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